「最後に本で泣いたの、いつだったっけ?」…そんなふうにふと思った人にこそ読んでほしい。
それが『成瀬は天下を取りに行く』です。
ぶっ飛んでるのに地味。どこかズレてるのに真っ直ぐ。
そんな成瀬あかりの姿に、思わず「なんなんこの子……でも、好きかも」ってなる。気づけば彼女のペースに巻き込まれて、最後には静かに心を動かされてる。そんな不思議な力を持った作品です。
日々のしがらみにモヤモヤしてる人、自分のことをちょっと嫌いになりかけてる人。そんな人の背中を、そっと押してくれる一冊です。
成瀬は天下を取りに行くのあらすじ:物語の中身をじっくり解説

- あらすじ(ネタバレなし)
- あらすじ(ネタバレあり)
- 作者について
- 登場人物と関係性
- 見どころと印象的なエピソード
あらすじ(ネタバレなし)
舞台は滋賀県の大津。
風景はのどかで静か、そんな町で暮らす高校2年生の成瀬あかりは、目立たないけどちょっと変わった子。ある日、教室でいきなり「私、天下を取りに行く」と真顔で宣言し、周囲をザワつかせます。
クラスメイトはもちろん、「えっ?天下?どういうこと?」と戸惑うばかり。
芸能人を目指してるわけでもなければ、何か明確な目標があるわけでもない。でも彼女には、ただひとつ揺るがない想いがありました。それは、「自分で決めたことを、自分の意思でちゃんとやりたい」という気持ち。
彼女の行動や言動には、特別な根拠もなければ大義名分もない。
でも、それが逆にリアルで真っすぐだからこそ、少しずつクラスの空気が変わっていく。周囲の人たちは最初は苦笑いしていたのに、気づけば「わ~この子、なんかすごいな」と思わされていくんです。
読者だって、最初はちょっと笑ってたのに、だんだんと成瀬の言葉や姿勢が心に刺さってきて、「あれ、自分って最近、ちゃんと自分の意志で何かを決めてるかな?」って振り返るようになる。
そんな風に、彼女の不思議なパワーに巻き込まれていくんです。
あらすじ(ネタバレあり)
成瀬が出場を決めたのは、まさかの「NHKのど自慢」。
しかも単なる参加ではなく、本気で優勝を狙っているというから、学校中が騒然。クラスメイトだけじゃなく、先生たちも「何を考えてるんだ?」とザワザワ。
でも当の本人はいたって冷静。誰がどう思おうと、やると決めたらやる。そんな彼女の姿勢は、どこか圧倒的な説得力を持っていました。
準備期間も、周囲の反応なんて気にせず、ひとりで練習を続ける成瀬。歌が特別うまいわけじゃない。
表現力が豊かってわけでもない。でも、舞台に立ったときの彼女は、まるで別人のように堂々としていて、その姿から目が離せなくなるんです。
会場の空気を変えるほどの存在感。
成瀬の歌声は、決して完璧ではないけれど、真っ直ぐでブレない心がしっかりと伝わってくる。だからこそ、聴いていた人たちの心に響き、応援の拍手が自然と湧き上がるんです。
そんな彼女の姿に、クラスメイトの晃も次第に影響を受けていきます。
最初は「何やってんの?」と呆れていた人も、気がつけば成瀬の考え方や行動に惹かれ価値観まで変わっていく。その過程はまるで、小さな革命のよう。
“天下を取る”…それは決して権力や名声を手に入れることじゃなかった。
「誰にどう思われようと、自分の信じた道を、自分の足で歩く」っていう、成瀬なりの生き様だったんです。
物語のラストでは、進学か就職か、誰もが悩む人生の選択に直面する成瀬。
でも彼女は一切ブレず、自分の未来をしっかりと見据えて、自分で決断します。その姿を見たとき、読者の心には自然と「この子、やっぱりすごいな」っていう尊敬の念が湧いてきます。
派手な演出も奇抜な展開もないのに、胸の奥がじわっと熱くなる。そんな力を持ったシーンの連続です。
作者について
著者:宮島未奈(みやじま みな)
作品名:『成瀬は天下を取りに行く』(なるせはてんかをとりにいく)
出版社:新潮社
初版発行:2022年
ジャンル:青春小説/現代文学
登場人物と関係性
- 成瀬あかり:とにかくマイペース。でもその芯の強さと信念は本物。「天下を取る」なんて突拍子もないことを、真面目な顔で言うタイプ。
- 島田晃:語り手であり、成瀬の同級生。最初は戸惑っていたが、彼女に巻き込まれるうちに、変わっていく。
- 担任教師:大人としての葛藤を抱えながらも、成瀬の行動に何かを感じ、応援してくれる存在。
- 地元の人たち:最初は冷ややかだったけど、成瀬のひたむきさに少しずつ感化されていく。変わっていく町の空気。
見どころと印象的なエピソード
- のど自慢の舞台裏:緊張なんてどこ吹く風の成瀬が、堂々と歌い上げる姿に鳥肌が立つ。ただ目立ちたいだけじゃなく、自分の信じることに対して真剣でまっすぐ。観客の表情が少しずつ変わっていく様子が描かれ、見ているこちらもぐっと胸を掴まれます。
- 晃との夏祭り:屋台の明かりの下、浴衣姿の成瀬と晃が語る将来の話。花火が上がる中で交わされる何気ないやりとりに、ふたりの心の距離が少しずつ近づいているのが伝わってきて、甘酸っぱさと切なさが入り混じる名シーンです。成瀬の夢に対するブレなさと、晃の戸惑いが対比され、より一層彼女の芯の強さが浮き彫りになります。
- ラストの進路選び:誰の期待にも流されず、自分の未来を自分で選ぶ。まわりが「こうした方がいいよ」と言う中でも、自分の信じる道を貫こうとする成瀬。その姿に、「自分もこうありたい」と思わされる読者もきっと多いはず。彼女の選択は派手ではないけれど、だからこそリアルで共感できるものになっています。
- 静かな教室での独白:放課後、誰もいない教室で、自分の「天下を取る」意味をひとり語る成瀬の姿。その静かな独白の中に、彼女の揺るぎない信念と孤独が垣間見えて、読者の心に深く刺さります。
一見“変わり者”な成瀬が、実は一番まっとうに生きてるってことに、きっと気づくはず。
周囲に合わせることばかりを求められる今の時代に、彼女の存在はまるで小さな光のようです。
成瀬は天下を取りに行く:作品の外側と、その魅力

- 「面白くない」ってホント?
- 胸に刺さる名言たち
- この物語が伝えてくれること
- なぜこんなに人気?
- おすすめポイントまとめ
- 試し読みできるサービス
- ドラマ化もしてます!
「面白くない」ってホント?
たしかに、「ド派手な展開はないし地味すぎ」「面白くない」って声、わからなくもないですね。
事件も恋愛もミステリーもなく、劇的な山場や衝撃のラストがあるわけでもない。
でもその代わりに描かれるのは、誰もが一度は経験したような“あの頃の空気”だったり、“自分の中にある葛藤”だったりするんです。
読みながら「こういう子、クラスにいたな」「自分にもこんな瞬間あったな」って思い出す人も多いはず。
特別なことは起きない。
だから「面白くない」って思うのかも!
でも、毎日の中にある“ちょっとした勇気”や“ささやかな決意”に、こんなにもドラマがあるんだと教えてくれる。それこそが、この作品の本当の面白さなんです。
読み終わった直後にはそこまでピンと来なくても、数日後、ふとした瞬間に「あ、あのセリフ……」って心に蘇ってくる。
そのとき、じんわり涙がにじんでしまう。そんな魔法のような余韻が、この物語にはあるんです。
つまり、「面白さ」って派手さじゃない。
静かに、でも確かに響くものがある。『成瀬は天下を取りに行く』は、そんな深さを持った作品です。
胸に刺さる名言たち
- 「私は天下を取りに行く」
- 「自分で決めたことは、全部自分の責任やから」
- 「笑われてもええ。私は私を信じる」
- 「できるかどうかじゃない。やるかどうかや」
- 「誰かの期待じゃなく、自分の心に正直に生きたいだけ」
どれもシンプルだけど、今の時代だからこそ心に響く言葉ばかり。
誰かの目を気にしがちな日常の中で、こうしたストレートな言葉は強烈な光を放ちますね!
「天下を取る」なんて言葉、本来は重々しく感じるもの。
でも成瀬が言うと、それが妙に自然に聞こえるのが不思議なんです。そして、彼女のその言葉に触れた瞬間、読者の中に眠っていた“本音”や“願い”が静かに目を覚ます。
SNSでバズったのも納得。
誰もが少しずつ我慢して生きている現代だからこそ、「私は私を信じる」と言い切る強さに、多くの人が勇気をもらったのです。
この物語が伝えてくれること
自分を信じるって、実はめちゃくちゃ難しい。
周りの声とか評価に流されずに、自分の道を行くなんて、そう簡単なことじゃない。
一歩踏み出すだけでも勇気がいるのに、それをやり遂げるなんて、誰にでもできることじゃない。でも、成瀬はそれをあっさりやってのけてしまう。彼女の言葉や行動を見ていると、「あ、自分もこんなふうに生きたい」って、自然に思えてくるんです。
「自分で決めて、自分で責任を取る」…それって、大人でもなかなかできないこと。
誰かのせいにしたくなるし、失敗が怖くて選べないこともある。でも成瀬は、失敗を恐れずに、自分の選択に胸を張る。
その姿は決して派手じゃないけど、めちゃくちゃカッコいい。まるで無音の映画のように、静かに、でも確実に胸を打ってくる。だからこそ、彼女の姿が心に残って離れないんです。
なぜこんなに人気?
- キャラがとにかくクセになる
- 舞台がローカルで、妙にリアル
- 共感ポイントが多くて「これ昔の自分じゃん」ってなる
- 派手じゃないけど、じわじわ心に沁みるセリフや展開が多い
- 地方出身者なら「あるある」と思える空気感や描写もたっぷり
この作品の人気の秘密は、単なるストーリーの面白さにとどまりません。
登場人物たちの会話や行動がまるで自分の昔の記憶と重なってくるような感覚があるんです。「あの頃の空気、こんな感じだったなぁ」としみじみ思い返す人も少なくありません。
そして、「特別な才能や運があるわけじゃないけど、自分なりのやり方で前に進む姿」に、多くの読者が自分を重ねてしまう。
それが共感を呼び、応援したくなる理由でもあるんです。
じわじわ口コミで広がって、SNSでも話題に。「読んでよかった」「気づいたら泣いてた」という声が続出。静かなブーム、確実にきてます。
おすすめポイントまとめ
- 成瀬に元気をもらえる!そのぶれない姿勢が「明日からまた頑張ろう」と思わせてくれる。
- 日常描写が妙にリアルでグッとくる!高校生活の“あの空気”が見事に再現されていて、懐かしさで胸がキュッとする。
- 名言が多くて、メモしたくなる!どのセリフもシンプルだけど強く、日々のモヤモヤを吹き飛ばしてくれる力がある。
- 登場人物の心理描写が丁寧!読んでいて「わかる…」と何度も頷いてしまう共感の連続。
- 派手じゃないけど、心の奥がじわじわ温かくなる感動!読後の余韻が長く続くのも魅力。
日常に疲れてる人、何かを始めたいけど勇気が出ない人…そんな人にこそ届いてほしい。
読み終わったあと、「今の自分でもいいかも」と思える自分に出会えるはずです。
試し読みできるサービス
- BookLive!
- ebookjapan
- 楽天Kobo
どのサービスも、登録なしですぐに冒頭部分を読むことができるのが嬉しいポイント。スマホでもパソコンでもアクセスできるので、通勤・通学の合間や寝る前のちょっとした時間にサクッと試し読みできます。
たとえばBookLive!では、試し読み範囲が広めに設定されていることも多く、物語の雰囲気をしっかり掴んだ上で判断できるのが魅力です。ebookjapanはセールやクーポンが豊富で、気に入ったらそのままお得に購入できる可能性も。楽天Koboは楽天ポイントを使えるので、楽天ユーザーにとっては使い勝手も抜群です。
ちょっとだけ読んでみて、「この子、面白いかも」「続きが気になる!」と思ったら、ぜひ本編を手に取ってみてください。
成瀬の世界に、きっとあなたも引き込まれるはずです。
この作品は「ebookjapan」で読めます!
eBookJapanでお得なクーポンをもらう
ドラマ化もしてます!
2023年にNHKで実写化。主演は南沙良さん。原作ファンからも高評価!
あの静かで熱い成瀬の雰囲気を壊さず、丁寧に再現されてて、「これは見て正解!」って声、多数。
まとめ:成瀬は、確かに天下を取りに行ってた

- 成瀬のまっすぐな生き方に胸が熱くなる。誰かに左右されず、自分を貫くその姿に、ただただ感動。
- 地味だけど深い。派手じゃないけど心に響く。静かなセリフや一言一言が、読み手の心の奥をそっと揺らす。
- 自分の人生に向き合う勇気をもらえる。成瀬の選択を見て、「自分もこうやって生きていいんだ」と思わせてくれる。
- 読後にちょっと泣けて、ちょっと笑える。気づかぬうちに涙がにじんで、次の瞬間にはふっと笑顔になれる。
- 誰かと比べなくていい、自分の人生を歩けばいい。そんな当たり前なのに忘れがちなことを、優しく思い出させてくれる。
- 高校生の青春物語に見えて、実は大人の心にもグッとくる。年齢を問わず刺さるのが、この作品のすごさ。
「自分って、これでいいのかな?」って悩んでるすべての人に。
成瀬がそっと答えをくれるかもしれません。そしてその答えは、意外とシンプルで、自分の中にもちゃんとあったと気づかせてくれるはずです。